ついに、オウム真理教のかつての教祖である

麻原彰晃こと松本智津夫死刑囚の死刑が執行されました。

Yahoo!Newsより)

 

長かったですね・・・逮捕が1995年5月なのでここから考えますと

約23年かかり、ようやく死刑が執行されたということになります。

(参考程度にチャートを)

この事に関しては、様々な切り口で議論ができると思います。

「死刑制度の是非」「なぜ洗脳されてしまうのか?」

「“アレフ”や“ひかりの輪”といった団体の今後」など

いろいろとあると思うのですが、私は大学教員なので

今回の事件から考える「大学教育」について

お話をしたいと思います。
 

当時から話題になっていたのは、オウム真理教の信者の「学歴」。

東大、京大、早稲田、慶応などなど

日本の一流と呼ばれる大学卒業の人も多く、

「なぜ、それだけ頭が良いのに、

テロ組織と言っても過言ではない宗教に入ってしまうのか?」

ということでも話題になりました。(具体的にはこちらのサイト参照)

 

この事からもわかる通り、

 

「良い大学に入れれば人生安泰」というわけではない!

 

ということです。良い大学に入っても、とんでもない犯罪者に

なることだってある・・・では、なぜこれが起きるのか?

それは

 

人生は、国語、数学、社会科といった

「アカデミック(学術的)な知識」だけではなく、

様々な知識が必要だから

 

だと思います。現在の日本の大学は、アカデミックな知識

しっかり頭に入っていれば入学できてしまうところがほとんどです。

しかし、「アカデミックな知識」というのは

人生においてほんの一部にすぎません。

例えば、どのような知識やスキルが人生で必要かと言いますと

 

①人間づきあいの仕方

②お金の使い方や稼ぎ方

料理や洗濯など一人で生活するスキル

④インターネットやSNSの使い方

⑤ストレスとの向き合い方

⑥悩みの解決法

⑦気持ちが沈んだ時の対処法

 

などなど、学校ではあまり教えてくれないことが

山ほどあります。そして、皮肉なことに

 

大学を卒業してしまうと、

学校で学ばなかったスキルの方が

重要になってきたりします。

 

例えば

 

①苦手な上司とどう付き合っていくのか?

②外食も多く、部屋は散らかったままだけどどうしたらいいのか?

③SNSで人間関係が壊れてしまったけど、どうしたらいいのか?

④仕事のストレスで、眠れないけどどうしたらいいのか?

 

などなど、あれだけ学校で学んできた

「英語の関係代名詞の使い方」や

「微分積分のやり方」はいったいどこで発揮すればいいのか・・・

 

このように「学校教育で学ぶ知識」と

「実際に社会に出た時に求められる知識」にギャップがあるため

「高学歴だけど、テロ組織に入ってしまう人たち」が
多くいるのだと思います。

「アカデミックな知識」は持っていたかもしれないが

その他の知識が足りなかったのでしょうね・・・

非常に残念です。

 

ちなみに、オウム真理教の元信者のAさんは、

AbemaTV「現代の若者たちに言いたいことはありますか?」

という質問に対し

 

>自分の頭で考えてください。

>自分の目でみて、耳できいて、足を運んで、

>その経験をもとにしてほしい。

>えらい人、すごい人が言ったからということは

>本当に真実なのか。

>それを自分自身で納得いくように調べてほしい。

>「心に漠たる不安があるときに、

>すっともっていく(のが宗教)。居心地がいい。

>考えることをやめるとすごく楽になる。

>Aさんの場合、(考えをやめてしまっていたことに)

>気がついたからやめた」

 

と言っています。

 

「自分の頭で考える」というのは非常に大切です!

 

大学に入る際も、

 

①親が、大学に行けといったから行った

②先生が行けと言ったから

③自分の周りがみんな大学に行くみたいだから

 

ではなく、

 

「なぜ大学に行くのか?」という意味を自分で

見つけてから行くべき

 

だと私は思います。立派な理由はいりません。

「自分で考え、自分で導き出した理由」なのであれば

「まだ将来何をしたいか見えてこないから

潰しが利くように、とりあえず大学に行き

やりたいことを見つけようと思う」

という理由でもいいと思います。

なぜなら

大学に入ってから、自分が何をするのか

(=将来何をするのか見つけるということが)

見えているから

です。一番心配なのは

「大学に入ったはいいけど・・・はて?

何で入ったんだっけ?」という入ってから

何をしたらいいのか分からなくなるパターンですね。

こうなりますと、目標を見失った学生は

 

何をしたらいいんだろう・・・という気持ちから次第に病んでいく

 

何をしていいのか分からなくなる

→夜も寝れなくなり、授業も休みがちになる。

→単位を落として余計に凹む。

→親からも文句を言われるようになり、負のサイクルに突入

 (サークルなどで人間関係にトラブルがあったり

  失恋などした場合は、もう最悪)

 

となるパターンが多いです。そんな時に、知り合いから

「辛そうだね。大学生活って大変だよね。

分かるよ、その気持ち。僕も辛かったんだけど、

この間、〇〇という集いがあって、騙されたと思って行ってみたら

みんな何かしらの問題を抱えている人たちでね~。

僕も悩みを打ち明けたら、すごくスッキリした。

君も今度行ってみない?」

な~んて言われたら行ってしまうかもしれませんよね。

はい。そうです。明らかに怪しいです(笑)

しかし、そういった冷静な判断ができるようでしたら、

「授業も休まず、単位も落とさないはず」です。

そういう冷静な判断ができないから騙されてしまうのです(泣)

 

これは「オレオレ詐欺」に似ているところがあると思います。

あれだけ「詐欺」だと分かっていても、突然のことに

冷静さを失ってしまい、被害に会う。実際、被害件数は

減るどころかどんどん増えていっています。

 

振り込め詐欺認知件数

警察庁のHPより)

 

大学で指導をしているからこそ、私は言いたい。

 

大学に入ることではなく、4年後以降の

未来を見据えた上で大学に入るかどうかを決めてほしい
そして、大学に入るのであればアカデミックな知識以外も
しっかり身につけてもらいたい
 

 

と。誤解を恐れずに言えば、

 

「大学の授業で学ぶこと」と同じぐらい

「大学の授業外で学ぶこと」は重要

 

だと個人的には思っています。

大学を卒業する前に、様々な経験をし

「大学卒業後は自分ひとりでも生きていける。

テロ組織や怪しい宗教には絶対に入らない」という

スキルと自信をしっかり身につけられるように

大学生活を送ってもらいたいな~と思いますね。