どうも~、藤井です。

今回は、4月から勤務が始まった筑波技術大学について
少しお話をしたいと思います。

その理由は

ろう者(耳の聞こえない方)のことを
知る機会が少ない方々に、
私の経験や意見を紹介するのは
悪いことではないと思うから

です。今まで、ろう者の方と接点が
全くといっていいほどなかった私としましては、
この大学での経験は本当に驚きの連続です。
毎日新しい発見があり、
「このようなことは、実際にろう者の方と
接しないと得られないだろうな~」というものが多いです。
そのため、せっかくなのでブログでも紹介していこうと
考えています。私が気づいたこと、感じたことは、
定期的にここで書いていこうかな~と
思っているのですが・・・ここに書いてあることが
「ろう者の常識」というわけではないということだけは
あらかじめ、断っておこうと思います。
筑波技術大学の「聴覚障害部門」に

入学する学生さんの数は、毎年約50名。
(少し前のデータになってしまいますが)

内閣府の報告によりますと、

全国にいらっしゃる聴覚障害者の方は

27万6000人ということを考えますと

一般化するには、数が小さすぎると思います。
そのため、ここで紹介するのは、
あくまで一人の健聴者の意見。
「ろうの学生さんが多い大学で教える
一人の英語教員の考え」程度に捉えていただけると
嬉しいです。また、最近では、法律の改正などもあり、

日本の大学では、
「障害を理由に入学拒否をすることができない」
ということが義務づけられてきています。
それと同時に「障害者への情報保障」
というものもあり、大学では健聴者であろうが、
ろう者であろうが、ちゃんと情報が得られることを
保障する「合理的配慮」が求められています

(参考リンクは、こちら)。

そのため、ろう者の入学が今までなかった大学では
今後は、ろう者が入学した場合の
対策なども考えないといけません。
例えば、授業では教員が手話を使ったり、
手話通訳を入れたり、ノートテイキングをする補助が入ったり
といったことです。そのため、こちらのブログが
「ろう者に対する大学での対応や情報保障の方法」
として、何かしらのヒントになればと思っています。

ではでは、前置きが長くなってしまいましたが
私が気づいた点を1つ紹介していこうと思います。

【気づいたこと①:授業中に手をあげる学生が多い】
一番驚いたのが、授業中に手をあげてくれる
ろう者の学生さんが多いということです。
授業中に質問をすると必ず誰かは答えてくれますし、
質問があれば、授業の最後まで
待つのではなく、その場で手をあげ、
質問をしてくれます。今まで日本の大学で9年間、
講堂での特別講義などを含めれば
5000人以上は健聴者を教えていた私には
正直、ありえない光景です。
日本の大学に在籍する健聴者の多くは
「授業中は手をあげず、質問があれば
授業後に先生に質問をする」というのが一般的です。

これは、中学、高校、大学生だけに
とどまらず社会人でも同じでしょう。
大人になっても、みんなの前で手をあげて発言するのは
かなり勇気のいることだと思います。

一方で、筑波技術大学の学生さんは、

積極的に手をあげる・・・これは、面白いことだな~と

正直思いました。

 

このことについて、筑波技術大学のある先生に

お話したところ「ろう学校での教育が少なからず
影響があるのでは?」とおっしゃっていました。
ろう学校では基本的に人数が少ないため、
1クラス、10名以下というのが多いそうです。
また、生徒さんの聴力が低く、
授業をしっかり理解しているか確認するため
授業中に先生が生徒さんに発言(手話)をさせることも
多いとか。そのため、ろう学校で育った学生さんは
「授業中に発言すること」に対して、
あまり抵抗をもっていないそうです。

一方で健聴者が一般的に行く日本の学校は・・・
もうご存じですね。授業中は、
「授業中に質問をしたり、意見を言ってはいけない」
「授業の流れを妨げない」といった
「和を重んじる教育」が一般的ですので
気がつけば、「生徒たちが授業中に手をあげる」
ということがなくなり、「先生の板書ミス」といった
「誰でも間違いだと気づくこと」さえも授業中に

なかなか言えないといった状況になっています。

しかし、ここで1点、面白いことが。
よく海外に行くと言われる
「日本人は、意見を言わない(発言をしない)」と
言われる原因は「国民性」といった
DNAレベルの「変えられないもの」などではなく、

「教育の影響」といった「いくらでも変えられるもの」

だということがわかりました。
私は個人的に「授業とは、

生徒が作り上げていくものなのだから
生徒たちには積極的に発言してもらいたい」と

考える教員なので日本の学校でも

「もっと、個人の意見を重んじる教育」というものに
シフトしてもらいたいな~と思いますね。

しかし、正直な話、変わらないだろうな~(笑)

学校の先生は、部活の顧問やら会議やらで

もう忙し過ぎてそれどころじゃない・・・

って言われたらそれでお終いですけど、

「教員とは、そもそも教えてナンボでしょ?」と

いうことを考えると、

もう何十年も同じ教育をしているというのは

やはりどうかと・・・変える必要があるけど

変える余裕がないというのは、ジレンマですよね。

難しいお話です。