最近は、無料で手に入る翻訳アプリが

ものすごく精度を上げているというお話をよく耳にする。

とある英語教員によると

茨城大学(偏差値50前後の国立大学)の1年生が

書くレベルのエッセイ程度なら、できてしまうというのだから

怖ろしい。つまり、日本語で文章を書くことができれば

ある程度文法上は正しい英語ができてしまう・・・

ということである。しかし、ポイントは

 

文法上は正しい

 

というところである。まだ発展途上の翻訳機であるため

どうしても直訳に近い形になってしまい、

微妙なニュアンスまでは表現できていないというのが

現状である。違う言葉で言えば

 

違和感のある英語がいまだに多い

 

ということだ。そのため、

翻訳アプリは完璧な翻訳ができているか・・・

と聞かれると実はそうでもない。

例えば、

 

This experience was fresh.

(この経験は新鮮であった)

 

という文。日本語で「新鮮な経験」というと

「新しい経験」「今までにはなかった経験」というものを

指すことが多いが “fresh”(新鮮な)という形容詞が

 “experience”(経験)という名詞を修飾する形は、

あまり見たことがない。少なくても私には違和感があり、

この英文を見た瞬間、私なら

「あ、非ネイティブが書いたのかな」と考えてしまう。

 

また、翻訳機の「違和感のある日本語/英語

(あるいは他の言語)」を感知する技術は

いまだ未完成のものが多いため、元となる文章で

タイプミスをした場合、致命的になる可能性もある。

例えば、ある学生が「コミュニケーション力を養う方法」という

タイトルのプレゼンテーションを行った際、

突然

 

If you want to stab each other well,

you should communicate face to face.

 

といったスライドが飛び出してきた。

私の頭の中は、一瞬真っ白になり、

その後大きな「?」が出てきた。

日本語に訳すと「もし良く刺し合いたいのなら、

面と向かい合って話すべきだ」とかだろう・・・。

理解できなかったので授業の後にこの学生さんをつかまえ、

話を聞いてみると、ある翻訳機を使い

「もし、上手く付き合いたいのなら~~」と

タイプしたという。しかし、後日、実際にタイプしたのは

「もし上手く突き合いたいのなら~~」ということが

判明。そこで初めて「あ~!!なるほど」と

理解することができたのである(笑)

 

そして、本日、別のプレゼンテーションが行われた。
ある学生さんのプレゼンテーションのタイトルは
「お金の重要性について」。
そしたら、また謎のフレーズが・・・

 

If you don’t have enough money,

you will be spicy.

(もし十分なお金を持っていなかったら、

あなたはスパイシーになるでしょう)

 

う~ん・・・どういうことだ・・・ん?わかった!

「もしお金がなかったら、あなたは辛い(つらい)」と

タイプしたんだけど「辛い(つらい)」と「辛い(からい)」が、

この学生さんが使用した翻訳機では

判断がつかなかったため、

“spicy” が出てきたんだな!・・・と一人で妙な

納得をしていた(笑)。

 

こういうエラーに気づけるのは実に面白い!
今まで自分が思ってもみなかった日本語や英語の難しさを
気づかせてくれる。何も知らない学生さんが、
再びわけの分からない文章を披露し

「原文は何だったんだろう・・・」と考えさせてくれることを

密かに期待している(笑)