Forest 7th Edition (レビュー)
個人的な評価:★★★★★★★★★☆(9/10)
 
 

≪本の紹介(Amazon より)≫
「Part 1 これが基本」→「Part 2 理解する」
→「Part 3 深く知る」の3 Partシステムで構成。
各文法事項を「本質の理解」→「基礎力の構築」
→「詳細な文法知識の獲得」の順で掘り下げていくので、
学習の進度に応じて、無理なく文法力を

高めていくことができる。英文法の「なぜ?」を解決し

理解できるようにしっかりと説明。
文法を視覚的にとらえ理解できる
「概念図」や「イラスト」、また、

角度を変えて新たな視点から理解を深める
「コラム」も豊富に収録。「話し言葉」「書き言葉」が
わかるアイコン付き。使いたい例文に

すばやくアクセスできる「機能別さくいん」収録。
(Amazonカスタマーレビューはこちら

 

≪感想≫
日本の多くの高校で使われているのが

こちらの文法書でしょう。Amazon でも「英語>学習法」の

ランクで1位を獲得しているぐらいですから、
高校生だけでなく、多くの方に使われていると思います。

(しかし、7th Edition という点に関しては6th Edition とほとんど

内容が変わらないため、中古の6th Edition を

購入した方が良いという意見もあります)

 

639ページとボリュームもあるので中学・高校英語の

レベルであれば、この1冊があれば、

ほとんどの疑問は解決できると思います。
しかし、あくまで「文法書」。

スピーキングやリスニングといった
コミュニケーションを鍛えるというのが目的ではなく、
学校の成績や受験で良い点数を取るための本・・・
といった印象ですかね。ロイヤル英文法とは異なり、
カラーで見やすく説明もそこまで細かくないので、
ロイヤル英文法よりも使いやすい一冊だと思います。
 

しかし、練習問題はほとんどなく(別売り)
文法解説と例文がメインですので、

こちらもロイヤル英文法同様
「中学英語がある程度身についている方向け」

といった印象があります。Forestは高校で

よく使われる文法書ですが「英語に興味のある

中学生のお子さんでしたら用意しておいた方が良い本」

だと個人的には思っています。なぜなら、この本は

「教科書には当たり前のように登場している文だけど
何でそうなるのか理解できない。

辞書で調べても載っていない(あるいは

載っていてもよく理解できない」といった時に使えるから

です。イメージとしては「机の上の先生」ですかね。
学校で、ただ先生の言われたことを聞いている
受け身の生徒さんなら必要ないでしょう。
しかし、教科書の内容にも疑問を持つ
英語に興味のあるお子さんだったら、その好奇心を
失くさないためにも準備しておく
(本人が見ないでも、親御さんが質問に

答えられるようにしておく)べきだと思います。

例えば、“I go to school every day.

(私は毎日学校に行きます)”という文。

このような文は当たりまえのように
中学の教科書には登場しますが、
「可算名詞・不可算名詞」や

「冠詞」の概念を学んだ生徒さんなら
「あれ?なんで“I go to a school every day.”や
“I go to the school every day.” にならないの?」と
疑問に思っても不思議ではありません。
こういった疑問を解決してくれるのが、この本だと思います。
(ちなみに、go to schoolのように無冠詞になる理由は、
以下のように説明されています)。

=======================
p.488
学校を1つの「建物」として考えているのではなく、
勉強などを行われる「場」としてとらえている。
あるものの「働き」や「役割」「性質」に焦点を当てると

無冠詞になる。
=======================
(ちなみにgo to bed も同じ理由で“go to a bed”や
“go to the bed”にはならないということです。)

このような理由から「教科書では

解説されていない点にも疑問を
持つお子さん」にはこの本は、
中学生の時から用意しておくべき本だと思います。
特に現在は英語教員のレベルは低いと言われていますから
先生ですら答えられない質問は、

こちらを参照にするとよいでしょう。

 

ちなみに、「日本の英語教員は

どれだけ英語ができないのか?」
といいますと・・・2011年のお話なのでちょっと古いですが、
当時中学の英語教員のレベルはTOEICで言えば、
平均560点だったそうです。(こちらの記事参照)

「これは、“教える”ではなく“教わる”レベルだ」
大前研一氏も解説していましたが、まさにその通りですね。
また、2015年の記事では
中学英語講師の7割以上が英検準1級(TOEIC730点)もない現実
というのもありました。これもおそらく正しいでしょう。
私も、約8年間、偏差値50台(日本の平均)の大学で
指導をしているので分かりますが
1年生(受験勉強が終わって間もない時なので
基本的に一番英語の成績が良い時期)の
教育学部(英語)の生徒さんのTOEICの点数が、
良くて・・・600点前後とかだと思います。
ここから、大学卒業までの3~4年間でどんどん英語力は
下がっていくのが一般的ですので・・・
大学を卒業し、教団に立つ時には・・・う~ん・・・恐ろしい・・・

実際、生徒さんのこういったするどい質問に

答えられない中学の先生は多いと聞いています。

また、プライドが高い先生もいるみたいなので、
そういった質問をすると逆キレする先生もいるみたいです。
私が前に教えていた生徒さんは、
まさにこの“go to school”の質問を先生にしたら
「はぁ?いじめ?」と言われたと言っていましたね。
そのため、それ以降その先生には

質問ができなくなったとか。「先生どうしちゃったの?」と

思ってしまいます。

 

また、ちょっと話は違いますが、

算数で「体積を求める計算で、かける順番が違っていた
(縦X横X高さではなかった)から減点」
「3.9 + 5.1 = 9.0 は “.0”の部分が不要だから減点」
といった話が「林先生が驚く 初耳学」という番組で
取り上げられていたみたいですね(こちらの記事参照)。
これも「先生どうしちゃったの?」というお話です。
最近は、ツイッターやフェイスブックなど、
SNSが普及していますから、こういったテストの答案などは
すぐに拡散してしまいますよね。基本的に日本の教員には

企業とは違って「授業の様子をいつもチェックし、
アドバイスをくれる上司」みたいな存在はいませんので
やりたい放題になりがちなのだと思います。
「そんなこと、少し考えればわかるだろ!」

といったことが分からない。そういう先生も多いので、

保護者さんや生徒さんのSNSというのは
必ずしもネガティブに働くものではないのかもしれません。

 

・・・と、少し話がそれてしまいましたが、

このForest という文法書のポイントは

 

英語の文法書としては、とても分かりやすく非常に使いやすい。
しかしあくまで受験や学校教育にフォーカスした「文法書」。
また、高校の文法書だが、中学生の生徒さんでも
やる気のある生徒さんなら持っておくべき本。
先生に頼ることができない環境なのであればなおさら。

 

といったところだと思います(笑)。