【書評】 マンガでおさらい中学英語
≪内容(Amazonより)≫
本書は、中1の範囲をベースにした英文法をマンガでおさらいできる、新感覚の英語やり直し本です。
「I am draw a picture. がダメなのはなぜ?」
「“副詞”って何だっけ?」
「前置詞ってどう使い分けるの?」
学生のときには「あたりまえのこと」としてくわしく説明されなかったこんな疑問を、本書では丁寧に解説していきます。マンガなので、スラスラ読めて、イメージが頭に残るのもポイント。もう一度イチからやり直したいと思っている人や、今まさに壁にぶつかっている人、この本でやり直しの第一歩を踏み出してみませんか?
・ずっと苦手だったけれど、実は「英語ができたらいいな」と思っている
・英語に興味はあるけれど、文字がぎっしりの本には抵抗がある
・テキストの説明を読んでも納得できないことが多い
そんなあなたにオススメです。
【著者紹介】
フクチ/マミ
マンガイラストレーター。1980年神奈川県生まれ。雑誌や書籍、webでルポ・解説マンガを中心に活躍中
高橋/基治
東洋英和女学院大学教授。専門は英語教育と第二言語習得(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
≪藤井の評価≫
★★★★★★★☆☆☆(7/10)
【評価の理由】
≪良い点≫
(1) マンガで学ぶコンセプトは面白い。
(2) 「マンガで中学英語を学ぶ」という本は多いが、この本は
授業中などに思う「なぜ?」「どうして?」に答えてくれている
(先生をイジメるのに使えそうな専門的な内容も多い)。
(3) 専門的な知識だけでなく、指導改善にも役立つため
英語教員も読んでおいていい本。
≪疑問点≫
(1) 内容の説明は「中1ベース」と書いてあるが、
中1の範囲でないものも多く「基礎英語」とした方がしっくりくる。
(中1の生徒さんには難しい内容も多くあまりオススメはできない)。
(2) 専門的すぎる内容もあるため、
英語を苦手とする方には混乱を招く可能性がある。
(3) ターゲットがあいまい。
1. 英語を本当に苦手としている人 or
2. 英語の基礎力はあるけど、あやふやなところが少しある人
なのか見えてこない。
【評価の詳細】
≪良い点≫
最近増えている「マンガで学ぶ英語本」なのですが
ただ単に「中学で学ぶ英語をマンガにした」という
従来の参考書とは異なり
「中学英語という基礎的なところで直面する
『なぜ?』『どうして?』に答えてくれる本」
というコンセプトは非常に面白かったです。
例えば
・なぜbreadは不可算名詞なのか?
・canとbe able to の違い
・なぜ進行形にはbe動詞がつくのか?
などです。私も「そうか。そういう教え方があったか~」と
指導に関することや、多少専門的(マニアック(笑))な情報もあり、
大変勉強になりました。
≪疑問点1. 本当に中1の範囲がベース?≫
Amazonの説明によりますと
>本書は、中1の範囲をベースにした英文法
と書いてありますが、どちらかと言いますと
「中学で学ぶ基礎的な英語をベースにした」という表現の方が
適格だと思いました。例えば、こちらの本では以下のことに
ついて述べられています。
・be動詞の過去形
・will, may などの助動詞
・完了形
・基本5文型
・自動詞・他動詞の違い
・can と be able to の違い
・感嘆文
例えば「be動詞の過去形」は、一般的には中2の範囲と
言われています。
しかし、何も難しいことはなく
ただ「am/is = was」「are =were」にしただけのことなので
「基礎的な英語」ではあると思います。
著者側としては「中1の範囲がベース」としているので、
そこは逃げとして言っているのかもしれませんが・・・
しかし、これですと
中学1年生にオススメすることは難しいです
この本を中学1年生の生徒に読ませて理解できるのは
「英語が得意な生徒」の気がします。つまり
中1の生徒さんには、レベルが高い
ということです。もっとも「おさらい」ということを
タイトルで謳っていますので、
「あくまで『復習』という観点からの本」と考えますと
「そもそも中1の生徒さん向けに書かれた本ではない」
ということで納得もできないこともないですが・・・
≪疑問点2. これだけで英語ができるようになるの?≫
この本の内容紹介の欄に
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もう一度イチからやり直したいと思っている人や、
今まさに壁にぶつかっている人、
この本でやり直しの第一歩を踏み出してみませんか?
・ずっと苦手だったけれど、
実は「英語ができたらいいな」と思っている
・英語に興味はあるけれど、
文字がぎっしりの本には抵抗がある
・テキストの説明を読んでも納得できないことが多い
そんなあなたにオススメです。
===========================
と書いてありましたが、
この本は言うならば
「英語の知識のちょっとした穴を埋める本」
だと思います。基礎的な英語力がある上で
「なるほど。breadは不可算名詞だって暗記させられたけど、
実はそういう理由があったのね」
「そうか。canとbe able to の違いには
そういったこともあったのね」といった
英語の知識で、あやふやだったところを固める本
です。また専門的な情報も多く「英語に自信がない方には
暗記してしまった方が簡単」という場合も多々あります。
例えば「進行形にbe動詞が入る理由」など、
知れば逆に混乱を招くだけで
「進行形=be動詞+動詞ing」だけ覚えてしまう方が
良いと思います。
そのため、以下のような方々に
>もう一度イチからやり直したいと思っている人や、
>今まさに壁にぶつかっている人、
>この本でやり直しの第一歩を踏み出してみませんか?
>
>・ずっと苦手だったけれど、
> 実は「英語ができたらいいな」と思っている
>・英語に興味はあるけれど、
> 文字がぎっしりの本には抵抗がある
>・テキストの説明を読んでも納得できないことが多い
「どうして、この本がオススメなのか?」というのは
正直謎の部分ではあります。
「読者層を絞るのではなく、少しでも幅広く
多くの人にこの本を手に取ってもらうため」という
戦略的なことを考えてうえでの、
この書き方だったのではないか・・・と考えてしまいます。
「本は売れてナンボ」ということもあり
「ビジネス」という観点から考えれば分からないこともないですが、
面白い本だけに少し残念ですね。
≪(藤井が思う)オススメの対象者≫
1. 英語教育者(特に中学生・高校生を指導される方)。
2. 英語の基礎知識があるが、
たまに「これってなんでだろう?」と疑問に思う方。
3. 英語学習が好きでマニアックな情報知りたい方(笑)。
4. 中学英語を学習し終えた中3以上の学生さん。
5. 英語の先生が意地悪なので、
簡単には答えられないよう質問をして
リベンジを考えている生徒さん(笑)。