【書評】英語の多動力(堀江 貴文)

≪内容(Amazon より)≫

発売前重版に次いで、早くも2回目の重版が決定! !

英語を学ぶ意味から独自の英語学習法まで、
世界を相手にビジネスをする堀江貴文の「これからの英語論」。

英語力開花のきっかけは「多動力」。
実践を超える勉学など存在しない。
走りながら英語を身につけろ!
It’s now or never!

【著者紹介(Amazon より)】

1972年、福岡県八女市生まれ。実業家。
SNS media &consulting株式会社ファウンダー。
東京大学在学中に有限会社オン・ザ・エッヂを設立、
起業家としてビジネスをはじめる。
現在は宇宙ロケット開発や、スマホアプリ「TERIYAKI」
「755」「マンガ新聞」のプロデュースを手がけるなど幅広く活動を展開。また、TV、ラジオ、インターネット番組にも出演、活躍中。
有料メールマガジン「堀江貴文のブログでは言えない話」は
1万数千人の読者を持ち、2014年には会員制のオンラインサロン
「堀江貴文イノベーション大学校(HIU)」をスタート。
近著に、『多動力』(幻冬舎)、『好きなことだけで生きていく。』(ポプラ社)、『10年後の仕事図鑑』(落合陽一氏との共著、SBクリエイティブ)などがある。

 

≪Amazonカスタマーレビューはこちら
 

≪藤井の評価≫

★★★★★★☆☆☆☆(6/10)

 

【評価の理由】

≪良い点≫

(1)堀江氏の「英語学習に対する考え方」が書かれているため

  他の英語学習に関する本とは差別化が図れている。

   【例】

  a. 英語だけでなく、自分の価値を高める方法を考える。

     b. 英語をバランスよく学ぶ必要はない。

   (好きなものにとことんはまる方が重要)

  c. 映画を教材とする場合は、

    リスニング力を上げるのではなく、セリフを覚えて

       英語力をアップさせる。 

(2) 基本にあるのは「多動力」という主張。

  いろいろなことに挑戦する。「自分はできる」と信じる。

(3) 堀江氏の主張だけでなく、日本や世界で活躍する様々な方の

  「英語に対するインタビュー」が載っている。

 

≪注意点≫

(1) 堀江氏からしたら簡単なことでも、

  他の人からしてみたらハードルが高いということがある。

  【例】

   a. ワールドカップなどのスポーツの最低を現地に見に行く。

   b. はなから「無理」と決めつけるのではなく、

     「無理」をいったん封印する。

       c. 「世界を見るために英語を勉強する」と考えるようにする。

    d. 「海外では話せないことより、話さないことの方が

      恥ずかしい」とは言っても、それをなかなか実感できない。

       e. 200ページの単語帳を70日で全部暗記する力は

      気合いでできるという考え。

(2) 実際の堀江氏の英語力はどうなの?という疑問が・・・

  (参考となるサイト①サイト②

(3) 本に登場するインタビューに答えている人たちは、

    a. ずば抜けて行動力がある。

     (社長、毎日3時間3年間英語を勉強する、など)

    b. 経済力がある。

      c. 幼い時から英語に触れる機会があった。

  といったこともあるため、共感しにくい部分もある。

 

【補足説明】

堀江貴文氏は、私が持っていないものをたくさん持っているので
彼の「行動」や「考え方」を学べるだけでも勉強になります。
堀江氏の根本にあるのは
自分の好きなことを次から次へと行う
「多動力(とにかく行動する力)」。
その多動力を「どう英語学習に応用するのか?」
という切り口が面白かったです。
 
「なるほどな~。英語学習をこのように進められたら
上達も速いだろうな~」と思うばかり。英語が上手くなる方法は
人それぞれですので、こういうやり方もありだろうな~と
思いました。
 
しかし、

 

こちらの本を手に取る多くの方が
「堀江氏」や「この本でインタビューされている方々」
みたいに「ずば抜けた行動力」をお持ちの方ではない
 
という現実もあると感じました。そこが難しい・・・
もちろん、この本を手に取ることで
「よし!私もホリエモンみたいに行動しよう!」と
思うかもしれませんが、多くの方は
 
この本を読んで、やる気が出た!
けど、次は何をしたらいいの?
 
となる気がします。確かに堀江氏が主張されている内容は
物理的には、やる気になれば誰にでもできること」
も多いでしょう。彼が例として挙げているのは
「100メートルを10秒で走れ」といった物理的に不可能のものではなく、
「ワールドカップを見にロシアに行く」
「英単語の暗記」といったやる気になれば
できるものだと思うのですが・・・
それが不思議とできないんですよね(泣)
 
こちらの本は「読者をやる気にさせる」ということは
できても、具体的に「何を今からすればいいの?」という
ガイドラインは書かれていないため
結局読者の方は何もしないで終わってしまう印象があります。
堀江氏にこのようなことを言ったら
「1から10全て説明しないとできないの?」
と言われてしまうかもしれませんが、そうなのです。
 
英語ができなくて困っている方の多くは
1から10説明しないとできません。
 
逆に言えば
 
1から10説明しないでもできる人は英語ができます(笑)
あるいは、英語ができるようになるでしょう。
 

堀江氏は頭が良く、行動力があるので

「できない人の気持ちを理解する」
というのが苦手な印象があります。
そのため、この本は「英語を本当に苦手とする人」には
少し不向きな印象があります。
 
また
 
「ホリエモン。偉そうに英語学習について語っているけど、
お前は本当に英語ができるのか?」
 
という疑問をお持ちの方もいるでしょう。
私も実際、堀江氏がどれだけ英語ができるのか不明だったので
いろいろと調べたところ、2つのサイトが見つかりました。
 
 
両方とも少しデータが古いのですが、それでも
ある程度のレベルは把握できると思います。
特に印象的だったのが、②のブラッドリー純子氏のブログ。

2017年4月に堀江氏の英語について書かれているのですが

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そんな堀江氏が翌日のスタートアップ世界大会の決勝戦で日本代表のピッチ前にステージ上へ。
英語で簡単な挨拶をされたので即座に日本語の同時通訳を入れます。
資料のアジェンダを見ても登壇者の中に名前はなかったので突然決まったようでした。

シリコンバレーにも何度も来られているし、こっちの起業家とのネットワークもあるようなので英語は流暢なのかと思っていたのですが

ぶっちゃけ
 
ブロークンなジャパニーズ・イングリッシュなのでした
 
 …失礼!   (詳しくはこちらから)
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ポイントは以下の2点。
 
①英語での簡単な挨拶の後にすぐに同時通訳を入れてしまう
②堀江氏の英語は、ブロークンなジャパニーズ・イングリッシュ
 
う~ん・・・これは少し残念ですね。これだと説得力がまるでない。
私は、今回の「英語の多動力」という本には
正論がたくさん書いてあると思うのですが

堀江氏の英語能力がこのレベルですと

①本当にこの通りにやれば英語ができるようになるの?
②この本の通りにやらない方がいい。
  だって、この本の通りにやったら
   このレベルで終わってしまうんでしょ?
③ホリエモンは、偉そうなことを言っているけど、
  すぐに同時通訳を入れてしまうなんて、
    自分の英語に自信がない証拠なんじゃないの?
  全然ダメじゃん!
 
と思う方が出てきても不思議ではない気がします。
 
英語が話せない、
(簡単な挨拶以外、通訳を入れてしまうような)
英語を人前で話す自信がない人が書いた
英語参考書をいったい誰が読みたいと思うのか?
 
役に立つと思われる英語学習法が書かれているだけに
この点に関しては残念だと思いました。