【書評】天才を作る親たちのルール
≪内容(Amazonより)≫
世の中には「天才」と称されるスポーツ選手が何人もいる。天才って何? 大量の汗とともに磨かれる技、そして肉体と精神、その上に成り立っている競技スポーツに生きる選手に対して、「天才」という曖昧模糊とした言葉には違和感がある。その疑問から始まった、トップアスリートの親へのインタビュー集。多くの読者に好評を博した2003年刊の同テーマ書籍に続く第二弾。今回は、萩野公介(水泳)、白井健三(体操)、桐生祥秀(陸上)、永井花奈(ゴルフ)、石川佳純(卓球)、木村沙織(バレー)、井上尚弥(ボクシング)、竹内智香(スノーボード)、藤浪晋太郎(野球)、宇佐美貴史(サッカー)、宮原知子(フィギュアスケート)、大谷翔平(野球)の親へ取材。それぞれ育て方には個性がありながら、数え切れないほどの共通項もあった。筆者がそこで導き出す、天才の作り方とは。
【著者紹介(Amazonより)】
吉井/妙子
宮城県出身。朝日新聞社を退社後、1991年から、スポーツジャーナリストとして独立。『帰らざる季節―中嶋悟F1五年目の真実』で91年度ミズノスポーツライター賞受賞。スポーツに限らず人物ノンフィクションを手掛け、経済や芸術の分野でも幅広く執筆(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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≪藤井の評価≫
★★★★★★★☆☆☆(7/10)
【ポイント】
(1) 世界に通じるアスリートの子育て方法がしっかり書かれている。
(2) ドキュメンタリー番組を活字化した感じ(ナレーション+インタビュー)
みたいな形で読みやすい。
【注意点】
基本的に親の考え方は共通するものがあるため、全親御さんのお話を読む必要はない。
【藤井のコメント】
以前ブログで、子育で重要なのは
「親がどれだけ子供に寄り添うか」だという
お話をさせていただきました。具体的には
①親がどれだけ子育てにコミットするか。
②親がどれだけ自分の時間ではなく子供との時間を大切にするか。
更に詳しく言えば
①どれだけ子供と一緒に遊ぶか
②どれだけ子供の意見を受け止めるか
③どれだけ子供を愛するか
というお話だったのですが、こちらの本で紹介されています
一部(12選手中5名)の選手をかいつまんでお話をしていきますと・・・
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<大谷翔平(野球選手)>
・父親がリトルリーグのコーチ
(仕事を犠牲にしてでも子供の野球につきあう覚悟を決める)。
・チームの子供たち(大谷選手を含む)には、
まず野球の楽しさを教える。
・大谷選手がリトルリーグに入団。この時から
大谷家から休日が消え、家族旅行もしたことがない。
・大谷家の子供たちは、みな自分たちで人生を決めている。
・子育てのルールはない(日々子供たちと接することで、
言葉なり態度なりで示していたと思われる)。
<宇佐美貴史(サッカー選手)>
・両親ともガンバ大阪ファン。
・2歳の時、家の中を自由にドリブルさせる。
(家が散らかろうがボールを当てられようが、飽きるまでさせる)
・子供が「見てて」という場合は、忙しくても手を止めて褒める。
・子供が1日中サッカーをすることができるよう、
小学校の側に家を購入。
・父親はサッカーについて一切口出ししない。
・子供(兄2人も含め)の食費や遠征費捻出のため車を売る。
・反抗的な態度を取った宇佐美選手に、一度だけ鉄拳を振るった ことがある。
<石川佳純(卓球選手)>
・自宅が卓球教室(両親とも大学で卓球部に所属)。
・母親:「子供は親の所有物ではない。一人の人間として接する。
自分の時間は全て子供にささげよう」
・子供がどの道に進もうが困らないよう、様々習い事をさせる。
・石川選手は、母親が卓球をしているのを見て、卓球を始める。
・父親は仕事で多忙を極める。
・母親は朝起きてから夜10時まで家事、子供の送り迎え、
卓球のレッスンなどで、スケジュールが詰まっている生活。
・石川選手は大会で大人を負かすことに喜びを得る。しかし、
子供の鼻が高くなった時は、しっかりへし折る。
<萩野公介(水泳選手)>
・親:「子供のやりたいことを支援しよう」
・親:「何かやりなさいと言うと反対のことをした。
子供も怒られても意に介していないので怒るのをやめた」
・萩野選手が本格的な水泳教室に通いたいという。
この時「この子に時間の全て注ぎ込もう」と決意。
・中学/高校の時は母親の睡眠時間は短い時で4時間を切る。
・親:「子供のために環境を整えたり準備したりするのが
親の役目」
・父親は「家族サービス」という概念がない。仕事以外の時間は
家族と過ごすことが大事。子育てをするのも父親として当然。
・「どんなに好成績を上げても謙虚に」と子供に言い続ける。
・子供が浮かれた時はしっかり地面に足をつけさせる。
・「いい大人に出会う」というのも子育てには重要。
<桐生祥秀(陸上選手)>
・親:「特別な子育てはしていない」
・父親は、決まって週末は子供たち(兄がいる)と遊ぶ。
・家族の思いやりがあり「2人とも反抗期がなかった」という。
・桐生選手は中3まで親と一緒に川の字になって寝ていた。
・本人が洛南高校を選択。
・洛南高校の柴田先生は「親への感謝を身につけさせるため
子供には弁当を、朝は子供を駅に送ること」をすすめ、
それも良かった。
・父親は子供の試合のたびに会場に駆けつけ、
ビデオカメラを回す。
・息子たちは仲が良い。また、桐生選手の周りの仲間とも
仲が良かった。
・周りが騒いでも、普通の環境を作ってあげるのが大事。
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このように、
①親が子供と真剣に向き合い、
②子供を信じ、
③子供が舞い上がっている時はしっかり注意できる子供との信頼関係
があるから、トップアスリートは誕生するのだと思います。
このように一部だけをかいつまんで説明しますと
「藤井の意見に都合の良いアスリートだけ選んでいる」と
思われそうなのですが、全くそんなことはありません(笑)
もしそう思われるようでしたら、ぜひこちらの本を購入し読んでください!
超一流のアスリートでさえ・・・
いや、超一流のアスリートだからこそ、
裏で頑張っていた親の努力というのが
とてつもないのかもしれません。
勉強面でも同じですね。
「子供を全員東大に入れた」という某母親のお話が少し前に話題になりました。
彼女も確か「親と子供が一丸となって目標に突き進む」という考えだったと思います。
そう考えますと、スポーツも勉強も同じなのだと思います。
「子供の成功」はどうしても「子供」ばかりに目がいきがちですが、その後ろには
「子供を信じ、子供のために尽くす」という「親の努力」が
欠かせないのだと思います。