町田総合高校で暴行した教師の救済を求め署名活動が活発化しているそうですね。
今回の事件に対し、日本の世論は「生徒が悪い」「教員は被害者」という
流れなのだと思います。

 

私はツイッターで「教員を非難する立場」から発言したのですが、
いろいろと文句を言われましたね(泣)。彼らの意見も確かに分かる!
「あれだけ挑発をしているのだから、殴られて当然。大人をなめるな」という意見も
分かるのですが・・・どうも、私は生徒をあまり責める気になれませんでした・・・
「なんでだろう?」と考えはするのですが、彼らを責めるのではなく
「彼らがこうなってしまった原因は何なのだろう?」
「何で、(この教員を含む)周りの大人がこうなる前に、
彼らをとめることができなかったんだろう?」などなど思ってしまいます。

そして、私に対する批判の中に

 

(1) 高校教育をなめるな
(2) 何もしらないからそんなことが言える
(3) 藤井は平和ボケしている

 

といったコメントを読んで初めて気づきました!

 

私は、アメリカのダウンタウンの高校で
1年間指導(教育実習)した経験があるから

 

だと。これは教育実習の時だったので・・・
かれこれ10年も前の話ですかね~。
私が入っていた大学院のプログラムは
日本とは違い1年間かけて教育実習をするものでした。
最初は週に1日だけ。そこから週3と増えていき、
最後の2ヶ月は自分が担任の代わりに全ての業務をこなすという
流れでした。

 

学校の名前は Fort Hayes Arts and Academic High School
比較的貧しい地域で、生徒の8割近くが黒人というところです。
ここで日本語の指導を行っていたのですが・・・あれはすごかった。
今は変わっているのかもしれませんが、
当時私が経験したのは以下の通りです。

 

(1) 先生の話を聞かないのは当たり前。
(2) 口答えするのは当たり前(これはアメリカの文化でもあるかも?)
  注意をしたら、机を蹴り飛ばしどっかに行く生徒もいる。
(3) 授業中に流行りの曲を大きな音で流し、授業を妨害する。
(4) 授業中にボイパを始め、ラップが始まる(ある意味面白かった(笑))
(5) 妊娠しているからという理由で、授業中にどこかに行ってしまう生徒もいる。
(6) 生徒同士の喧嘩でナイフで刺される(?)といった事件も発生。
(7) 常に警備員が巡回している。防犯カメラもある。

 

こういう生徒たちを相手にしていました。当然のことながら、
感情に任せて彼らを殴る教員は(私の知る限り)一人もいませんでした
(いたら、クビだけでなく訴訟問題になるのではないでしょうか?)。

 

おそらく今回の町田総合高校の生徒をバッシングする方たちだったら
彼らを見て「明らかに生徒が悪い。こういうやつは殴られても当然。
社会のゴミ」といった意見になるでしょう。
私も最初は似たようなことを思っていました。
「今、こんなことしていたら、将来苦労するのはお前たちだぞ!
あとで、ざまーみろと言ってやろう」とか考えていました。
しかし、いろいろと話を聞いていくうちに

 

彼ら・彼女らが100%悪いのか・・・といったら
そういうわけでもなかった

 

ということが分かってきたんですね。
まず、貧困の地域ということもあり

 

生徒の多くが、学校の後に家族を助けるために
アルバイトをしていました。

 

しかも、夜の10時までとか。
アメリカの学校は朝が早く、私のところでは7時30分から授業が
行なわれていました。そのため、

バイトが終わる → 家に帰る→ 家事・食事 → 宿題

などしていたら、睡眠時間は4-5時間ぐらいです。
食事や睡眠すらまともに満たされない生活なのに、
将来なんの役に立つのか分からない日本語なんて勉強する気に
なるわけがないですよね(苦笑)
そして、友だちと遊ぶ時間もあまりなければ、
成績が悪いと教員や親からも文句を言われる・・・
そんな生活をしていることが分かったんです。
その時から、
私は「彼らがあのような態度を取るには何かしらの原因がある」
と考えるようになりました。
そして「周りの大人がもっとケアしてあげられないのか?」
とも考えるようになりました。

 

今回の町田総合高校の件について、私の意見に反対する人は
「お前のケースと今回のケースは全然違う」
と主張されるでしょう。
おっしゃる通り、今回の炎上を煽った生徒たちは、
家族を養うために働いているということはおそらくないでしょう。
食事や睡眠もおそらく取れているでしょうし、生活には
不自由はないと思います。しかし、

 

彼らは明らかに何かしらの問題を抱えています

 

自己承認欲求があまり満たされていないのかもしれません。
日頃から先生・親・友だちから「お前はバカだ」
「お前は本当に何もできないんだな」といった言葉を
浴びせられているのかもしれません。
もしくは、「先生を怒らせて動画をネット上に上げる」ということがいかに
愚かな行動でバッシングを受けるか理解していなかったのかもしれません
(これはある意味、教育上の問題かもしれませんね)。
そうでなければ、ツイッターで炎上させようなんていう
行動にはならないでしょう。

 

私は、こういう暴言を吐く生徒を見ていますと
その背後に潜んでいる「寂しさ」をすごく感じてしまいます。
教員を殴ったとか、ナイフで刺したとかならまだしも、ただ挑発しているだけです。
「弱い犬ほどよく吠える」という言葉もあります。
本当は自分の弱さに気づいているのだが、
それを認めたくなかっただけなのかもしれません・・・

 

ネットやメディアは基本的に無責任です。
その時、話題の問題を取り上げ、ワイワイ騒ぎ、
ことが過ぎれば、はいさようならというのが
基本的なスタンスなのではないでしょうか?
(視聴率を取るのが主な目的なのですから当然でしょう)
しかし、今回実名が公表され、バッシングを受けた生徒たちはどうでしょう?
一生忘れることのできない「後悔」がずっとつきまとうのではないでしょうか?
しばらく、ツイッターなどのSNSはトラウマになるでしょう。
一部に「反省していない」というコメントもありますが、
長い謝罪文やツイッター閉鎖などを考えるとそれは考えにくいと
私は思います。(これだけ騒ぎになって何も思わない高校1年生がいたら
それは、鋼のメンタルですね)。
これだけ彼らを追い詰めておいて、彼らが引きこもり、
最悪自殺となってもメディアは「自己責任論」で片づけるかもしれません。
ツイッターなどで彼らをすごい勢いでバッシングしている人たちはどうでしょう?
彼らの人生が、これでめちゃめちゃになってしまっても
「自己責任」として片づけるのでしょうか?または、
「いやいや、言っていたのは自分だけじゃないし・・・」となるのでしょうか?

 

今回の生徒は、まだまだ16~17歳の子供。
これからの環境によっていくらでも変わります。
社会人のみなさんに伺いたい。
みなさんが高校生の時、「バカな過ち」を犯しませんでしたか?
高校でやんちゃをした人など、たくさんいるでしょう。
しかし、その時の過ちを今回のような形で取り上げられたら
みなさん、どう思われますか?

私の考えは特殊というのは十分分かります。
アメリカで、授業中にラップを始める生徒がいる授業を担当したことのある
教員なんてそうはいないでしょう(笑)
また、実際に私がこの場にいたら『絶対に手を出さないか』と言われたら・・・
残念ながら保証もできません。そのため、藤井はきれいごとを並べている
何もしらないただのクズ教員なのかもしれません。
しかし、今回の事件で「生徒バッシング」を一方的に行う方たちに
「世の中には、クズ教員の藤井のようなよく分からない意見もある」
ということを知っていただけると嬉しいですね。

 

そして、今回のことで名前がネット上に公表され
今もなお、ひどいバッシングを受けているであろう生徒たち。
大丈夫なら良いのですが、もし、酷い後悔にさいなまれ、
今も苦しみ続け、何をしたら良いのか分からない・・・
という場合は、ぜひ藤井に連絡をしてきてもらいたい。
時が解決してくれる部分もあるでしょう。
しかし、今は本当に辛い時だと思います。
私に何ができるか分からないですが、
話を聞くことはできると思います。
何か困ったことがあれば「お問い合わせ」から遠慮なくご連絡ください。m(_ _)m