東京医科大の女性一律減点で、いろいろと話題となっていますが

TBSのサンデージャポンという番組で医師の西川史子氏が

こういった対応は「当たり前」という趣旨の発言をされました。

 

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【西川史子、東京医科大学の女性一律減点は「当たり前」と発言し物議 賛同の声も】

 

5日放送の『サンデージャポン』(TBS系)で、東京医科大学が女性受験者の点数を一律に減点していた問題について、西川史子が独自の見解を展開。その内容が物議を醸している。

 

■一律減点は「当たり前」

池田エライザや壇蜜が東京医科大学の対応を批判するなか、話を振られた西川史子は、「当たり前ですこれは。(医科大に限らず)全部がそうですよ」と発言。スタジオを驚かせる。

 

続けて西川は、「上から採っていったら女性ばかりになってしまうんですよ。女の子のほうが優秀なんで。だから眼科医と皮膚科医だらけにになってしまうんですよ世の中が。重たい人の股関節脱臼を背負えるかといったら女性は無理なんですよ」

 

と指摘し、さらに、

 

「外科医は少ない。やっぱり外科医になってくれるような男手が必要なんですよ。お腹が大きくては手術はできないんです。だからやっぱり女性と男性の比率は考えておかなければいけないんです」と語った。科によって「少ない、多い」があり、男女で採用比率を考えなければならないため、女性受験生の一律減点は「ある程度仕方ないのではないか」と持論を展開した。

 

(後略)                          (@niftyニュースより)

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(余談ですが、実は西川氏の発言の後にデーブ・スペクター氏も

反論しています。一連のやりとりは上記のサイトからご覧ください)

 
この意見には「西川氏の意見は理解できるのだが、
その場合は入試の際に比率をアナウンスする必要がある」
といった意見もありました(ちなみに、この考えには
西川氏も賛成していました)。
 
しかし、私はちょっと違った視点からお話をしようと思います。
 

西川氏の意見を私なりに解釈しますと(多少乱暴ですが)

 

医学界に関しては「男」を優先して当たり前。

なぜなら、女性は生まれ持った性質

 (男性と比べて力がないことが多い、 

子供を産むことができる、など)により、

専門によっては男性の方が向いているから。

(実際、日本の医学界では男ばかり)
といった意見だったと思います。そこで疑問が。
 
西川氏の話は本当なのか?
 
ということで調べてみました。厚生労働省のホームページ
平成26年度のデータがあったのでちょっと調べてみましたところ
 
診療科・医師数・平均年齢

 

私の解釈が正しければ、この赤の枠線緑の枠線の中が

「男性医師と女性医師」の比率だと思うのですが・・・

 

完全な男社会ですね(苦笑)

 

上の「総数」というところをご覧いただければわかる通り

 

【病院】    男=78.5%    女=21.5%

【診療所】 男=81.8%    女=18.2%

 

となっており、男が約8割の社会となっております。

西川氏が指摘された「外科医」に関しては、

 

【病院】    男=93.3%    女=6.7%

【診療所】 男=97.6%    女=2.4%

 

と、もう文句のつけようがないぐらい、男ばかりです。

しかし、更なる疑問が。

 

【疑問】

この比率を男女平等という観点から

50%-50%にできないのか?

 

西川氏は明言はされていませんが、彼女の意見は

「生まれ持った性質」といった観点からの考えなので、

「この比率は変えることができない(つまり、

男優先の社会)」という意見のように感じられます。

仮に、この理屈が正しいのであれば、

世界中で(だいたい)同じ比率にならないとつじつまが合いません。

 

では、世界の他の国々はどうなっているのでしょう?

 

OECD(経済協力開発機構)の

2017年のデータ(こちらのp.155)による、

女性医師の割合は、以下の通りです。

(日本語のこちらのサイトも参考にどうぞ)

 

OECD女性医師の割合

 

あれ?男女平等どころか、

女性医師の方が多い国もけっこうある。

 

ラトビア、エストニア、リトアニアといったバルト三国は

女性医師の割合が7割を超えていたりと非常に高いです。

一方で日本や韓国は2割程度とかなり低い結果となっております。

 

【藤井が言いたいこと】

もちろん、この医師の診療科による内訳がどうなっているのか、

分からないので何とも言えない部分はあるのですが、

 

「生まれ持った性質」とか関係なしに

男性医師・女性医師の比率を50%-50%に変えることは可能

(それどころか、女性医師を過半数以上にすることも可能)
 

ということだと思います。もし、男女平等を主張し

男性・女性の比率を50%-50%に近づけたいと
本気で考えるのであれば、比率が50%-50%に近い国々に
調査団を送り、調べてみるというのも一つの方法でしょう。
 
こう考えますと、西川氏の意見は
「男女の医師の比率は変わらない」という前提で
「それに比例して医科大学の女性差別は当たり前」
という発言をされていますが、
 
そもそも前提がおかしい
 
気がします。
 
医科大学の女性差別は妥当だと結論付ける前に
まずは他国の状況を調べ、どうしたら日本のそういう状況を
変えられるか考える必要がある
 
と思います。今回いろいろと調べてみて思ったのは、
 
仮に(多くのOECD加盟国のように)
男性医師・女性医師の割合を

50%-50%やそれに近い値にしたいのであれば、
男女平等の入学率にするというのも
1つの方法なのではないか?

 

というものです。これは、十分検討する価値はあると思います。
しかし、そもそも

 
【議論】
50%-50%にするべきなのだろうか?
あるいは日本は「男 80%:女 20%」でいいのだろうか?
という議論もあります。
男性・女性の比率を50%-50%にしようとすると

 

女医が増えることで自分の権力を失う

既得権益者の猛反対があることでしょう。
 
全力で潰しにくる医師も多く出てくると思います。
 
そのため、今すべき議論は「医科大学の入試率は
男性が高くて女性が低くいのはしょうがないのか?」という
ものではなく、
 
日本の男女の医師の割合を
50%-50%にするべきなのだろうか?
それとも、今まで通り「男 80%:女 20%」でいいのか?
 
という議論になると思います。
これは「医者の世界は男の世界」という議論から
1歩進んだ議論です。仮に、西川氏の言うように
「女性一律減点は当たり前」という考えを
日本の医科大学の全てが持っていたのであれば
その常識を覆すこの1歩は、大きな1歩のように感じられます。
 
(もし私の言っていることが正しいのであれば)
この事をぜひ西川氏を始め、「医者は男性社会」と主張される
方々にお伝えしたいですね。