2. アメリカ人の考え方

そして、次は「アメリカ人の考え方」というのがあります。

これは、日本人には、なかなかピンとこない考え方ですかね・・・

どういうことなのか?カギは「建国の歴史」にあります。

そもそも、アメリカという国は(ざっくり言いますと)

「最初はイギリスの植民地であったが、

人々が武器を持って戦うことにより独立を勝ち取った国」

ということは多くの方がご存じだと思うのですが、

実は、ここには重要なポイントが2つ隠されています。

 

まず「支配からの脱却」。アメリカという国は

建国当初から独立のきっかけとなった「支配」「圧政」というものに

敏感になり、治安維持活動といった秩序形成は政府が行う「上から」ではなく

どちらかと言いますと市民が自発的に行う「下から」行われることが

求められた考えられています。実際、大都市部である

ニューヨーク北東部では自治体警察が作られ、

農村部では作られなかったといった経緯があります。

そのため「自分たちの秩序は自分たちで作る」

という考え方があります。

 

そして、もう1つが、

独立を勝ち取る手段であった「武器」の存在です。

人々は「独立」を「武器(つまり銃器)」を手にして

勝ち取りました。また、自分たちで秩序を作り維持をするためにも

「銃器」は欠かせないものだという考え方があります。

実際、アメリカ憲法の修正第2条には以下の文言が書かれています。

 

“A well regulated Militia, being necessary to the security of a

free State, the right of the people to keep and bear Arms, shall not be infringed.”

(規律ある民兵は、自由なstate(国?州?)の安全にとって必要であるから、

人民が武器を保蔵しまた携帯する権利は侵してはならない)

(このstateは国/州のどちらを指すのか?という議論もあるのですが、

これも長くなりそうなのでここでは割愛しますね)

 

つまり「武器を持つことは憲法上許されている」と

解釈することができます。

(ここまでは、こちらのサイトで)

 

もっとも、憲法を改正することは十分可能です。

実際、前回の大統領選でも

この「合衆国憲法修正第2条」については

議論となっておりました(トランプは支持、ヒラリーは反対)。

 

しかし、なかなか改正には進まないのには、

先ほど述べた「アメリカ人の考え方」・・・と

実は、もう1つ大きな理由があるのです。

それが「全米ライフル協会(NRA)」の存在なのです。

 

3. 全米ライフル協会(NRA)の存在

全米ライフル協会(NRA)

「アメリカの銃愛好家による市民団体」というのが

組織の位置づけなのですが、銃規制反対派で有名な組織でもあります。

彼らのスローガンは

 

“Guns don’t kill people, People kill people”

(人を殺すのは人であって銃ではない)

 

というもの。会員数は約400万人。

銃器産業などから多額の寄付金もあるため資金力も豊富だと

言われています。そのため、選挙の時は

多大な影響を及ぼし

「銃規制やNRAに対して、どのようなスタンスを取るか?」

というのが選挙戦略の1つのカギとなってきます。

このことから「銃規制に対して確固とした意見がない

候補者であるのなら、NRAの方針に沿った発言をする」

というのが選挙戦略での1つの定石・・・という考え方もあります。

「政治家は、落選すればただの人」という言葉もあるように

「政治は当選してナンボ。自分の生活のためにも

当選しないといけない」と考えますと、きれい事だけでは

すまないのでしょうね~。

 

しかし、今回のフロリダでの銃乱射事件で

高校生たちによるデモが起きているみたいです。

(ちなみに、このサイトの男の子が持っているプラカードは

 

NRA is a terrorist organization.

(NRAはテロリストの組織だ)

 

というもの。NRAという組織と、そのバックグラウンドを知らないと

ニュースを理解することも難しいですね)。

もちろん、こういったデモは銃乱射事件が起きるたびに

起きてはいるのですが・・・残念ながら

いつもあまり進展がないイメージがあります。

今年はアメリカで中間選挙が行われる年(詳しくはこちら)。

そのことを考慮すると、NRAを刺激するような発言は

みな控えることが予想されるため、

特に目立った動きは期待できない印象がありますね・・・

 

人間社会というのは非常に複雑です。

「何が“正義”なのか?(銃による犯罪を減らす)」

というのを見つけるのは簡単かもしれませんが、

「“正義”と考えられるものが実現できるのか?

(“銃による犯罪を減らす”ことを実現できるのか?)」というのは

非常に難しい・・・ということだと思います。

どうすれば良いのでしょうか・・・それが分かっていれば

私はアメリカの大統領ですね(笑)

 

(マニアックなツッコみを避けるため、あえて述べておきますと、

私はアメリカで生まれではないので

大統領にはそもそもなれませんね(笑)

ちなみに、アメリカ大統領になるための条件

「アメリカ生まれ」「14年以上居住」「35歳以上」だそうです)